「夏草や兵どもが夢の跡」
初夏のある日、芭蕉の名句が詠まれた平泉の地を訪れ、最初の記事を書いています。
この句は最も好きな芭蕉の作品であり、彼が見た景色と同じものを、自分も見てみたいとずっと思っていました。
盛岡より南下し、平泉に近づくと、雄大な山々と澄んだ青空、新緑が目に飛び込んでくる。車窓からの景色だけで心揺さぶられます。
藤原氏の栄華、義経の悲劇が偲ばれるこの地で詠まれた一句は、自然の美しさと相まって、心に深く染み入ってきました。
そして、人生の様々な情景を目に焼き付け、忘れがたい瞬間に触れ続けたい。心動かされたことを自分の言葉で表現しておきたい。
以前から温めていた想いに火が灯り、こうして文章を残していこうと決めました。
芭蕉がこの地で詠んだ句のように、自分の存在はいつの日か人々に忘れさられ、必死に生きた夢の跡には、夏草がただ茂っているだけかもしれません。
たとえそうだとしても、残した言葉はいずれ誰かの目に留まり、その人の心を動かすかもしれない。
誰かの陰に光を刺したり、何かの気づきを残すかもしれない。
それはひとつの自分が生きた証になるのではないか。
そう信じて、自分の見た世界、感じ取った世界を言葉にしていきたいと思います。